大阪産業大学 田原研究室(Advanced_Rocket_Lab.)
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  4) 月基地建造物資輸送用大型プラズマロケットエンジンの開発

電磁加速プラズマエンジン、いわゆる Magneto?Plasma-Dynamics(MPD)エンジンは図1に示すように、通常の電熱型アークジェットエンジンと同様の同軸型電極構造を持つが、電磁力(放電電流とその放電電流自身によって誘起される周方向磁界)の相互作用によるブローイング力(吹き払い力)と陰極先端部へのポンピング圧縮力)を主加速力とするためその開発指針は異なる。すなわち、アークジェットエンジンでは推進剤ガスの解離、電離などの化学反応に消費されるエネルギー損失をできる限り抑え推進効率の向上を目指すが、MPDエンジンではプラズマ生成のための電力消費は考慮せず、その回収も諦め、電磁力の仕事効率をとにかく高めることを目指す。電磁力を効果的に発生させるためには必然的にkAオーダーの大電流が必要である。大電流のアーク放電によって推進剤ガスを電離し、生成プラズマを電磁力によって加速する。アークジェットエンジンとイオンエンジンの中間性能をカバーし、推力密度が比較的大きく、その比推力は1000〜6000秒程度と広範囲で、推進効率は10〜50%程度である。 日本では1995年にスペースフライヤーユニット(SFU)上で準定常パルス放電作動型MPDエンジン(比推力1000秒、推力/電力比20 mN/kW、時間平均電力430 W)の40000回以上の噴射が行われ(Electric Propulsion Experiment)、そのシステム性能が実証された。一方、定常作動型MPDエンジンでは主に数100 A-2 kA程度のアーク放電を発生させるが、誘起電磁力が小さいのでそれを補うために軸方向の磁場が印加される。 50 kWからMWクラスの大電力電気推進は、5kWレベルホール型イオンエンジンの複数作動(クラスタ化)で対応することは厳しい。すなわち、エンジン1台当たりの電力が30-100 kW、さらにはMW級でなければならない。これに対応できるエンジンは、直流アークジェットエンジンとMPDエンジンのほかにない。主にドイツ、日本で開発が進められており、日本ではJAXA、名古屋大学、東北大学、大阪産業大学が参画している。図1, 2に示す輻射冷却式定常作動型MPDエンジンMT-III(大阪産業大学)では、水素ガスを用いて、5-15 kW、比推力3000秒以上の安定作動に成功している。
 
図1 輻射冷却式電磁加速プラズマエンジンMT-III

 
図2 MT-IIIプラズマエンジンの水素プラズマ噴射(軸方向外部磁場印加:無(左)、有(右)).




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